工夫でウィズコロナを生き抜く「レストランバス」
※本記事は2020年に書かれたものです。
はじめに
乗客を密集させて乗車させることで運賃を下げ、運賃を下げることで増客・増収を狙うのが定石でもあったバス事業。
しかし、コロナの時代に密集が避けられるようになり、バス事業は苦境に立たされています。
そんな中、バスを「移動手段」ではなく「観光目的地」にし、密集させず客単価増を実現させるサービスがあります。
バスで食事をしながら観光もできる、移動レストラン「東京レストランバス」です。
東京レストランバスとはどのようなサービスなのか。運行するウィラー・エクスプレス(代表取締役平山幸司)の担当者に話を伺いました。
東京レストランバスとは何か
「街全体がレストラン」というコンセプトで、オープントップの二階建てバスの車内で食事と街並みを両方楽しめる観光バス。
レストランバスのコンセプトは「そこにしかない日本を食べよう!」。2016年にウィラーが車両の開発から行いデビューし、新潟から運行をスタートしました。
地方には魅力的な場所がありますが、交通手段がないというお客様の課題が障壁でした。そこで、地域の魅力的なところを結ぶ交通+人の交流を生む「食」を掛け合わせた移動サービスを作ろうと考えた事がきっかけだそうです。
通年運行の東京と京都のほか、過去にはこれまで新潟、熊本、沖縄、北海道、石見、金沢等全国各地域を走行し2016年4月~2018年3月の間で、9千名を超える利用者がありました。
▲メニューの一例(東京ヨーロピアンコース ランチ)
東京では、東京駅丸ビル前発着で、現在以下の2コースを展開しています。
【コース】
・浅草方面~スカイツリーの真下を通る和食提供をする和モダンコース
・お台場方面~レインボーブリッジを通過するヨーロピアンコース
そしてレストランバスでは、各コースに合わせた料理を提供しています。
【例】
・ヨーロピアンではイタリアン野菜を中心にアンチエイジング効果にこだわったメニュー
・江戸味噌、煎り酒など江戸の人々が親しんだ味をモダンに再現した料理
▲昼間のコースの一例。都内の主要人気スポットを網羅しています。
コロナ時代に有利な運用
▲まさに移動レストランと言えるユニークなバス車内
あくまでレストラン。移動手段ではなくバス自身が観光目的地となることで、通常のバス市場とは違う市場を獲得しました。
利用者を詰め込む必要もなくなり、コロナ時代にも有効な対策を打てました。
- レストランバスはルーフを開閉できる仕様のため、密閉空間にならない
- 最大25名までの定員のため密集にならない
こういった従来からある特徴に加え、コロナ対策として
- 他のお客様と相席にしない
- お客様の検温の実施
- 車内にアルコール消毒剤を設置
- 希望者へのマスク配布
- 運転手、コック、サービススタッフ、ナビゲーターはマスク着用
- 一運行毎に、バス車内の各テーブル、座席をアルコール除菌清掃
などの対策を行っています。
レストランバスはコロナ時代どうなっているのか
レストランバスは、コロナの感染拡大の現状を鑑み、2020年3月~6月の4か月間運休していました。
しかし、同年7/1に運行再開し、首都圏近郊の利用者が戻ってきたといいます。
担当者は、オープンルーフに加えて通常のバスにできないコロナ対策を行うことで、運行再開後は「お客様には安心してご利用頂いている」と話します。
コロナ問題の前までと後での乗客数の推移や変化
6月の予約数は、昨年比で47.8%。要因として「直近での予約傾向にあるため、今後国内旅行が促進されてくるタイミングや梅雨が明けた時期に増加傾向にあるのではないかと予想している」とのことです。
なお、ウィラー株式会社は、全てのコースを3000円オフで利用できる「運転再開キャンペーン」を実施しています。
(※2020年8月末まで)。
今後について「ウィズコロナにおいて安心して観光と食事を同時にお楽しみいただけるレストランバスの魅力を楽しんで頂けるよう、新しいサービスを創っていきたい」と話してくれました。